本の裏表紙に印刷された、13桁の細長い番号。あれが「ISBN」です。名前は見たことがあっても、それが何のためにあるのか、自分が本を出すときに必要なのかまでは、意外と知られていません。この記事では、ISBNとは何かという基本から、個人が取得する方法や費用、そして無料でISBNを付ける出版のしくみまで、はじめての方に向けてやさしく整理します。
先に結論だけお伝えします。個人が1冊だけ本を出すなら、ISBNは「自分で取得する」よりも「ISBNを無料で付けてくれる出版サービスを使う」ほうが現実的です。自分で出版者登録をして取得する方法もありますが、その場合は費用と台帳管理の手間がかかります。無料でISBNが付く方法なら、費用ゼロで正式な一冊を世に出せます。まずはこの違いを押さえておきましょう。
ISBNとは?本につけられる世界共通の「番号」
ISBN(International Standard Book Number=国際標準図書番号)とは、世界共通で1冊1冊の本を識別するための番号です。13桁の数字で構成され、どの国の・どの出版者の・どの本かを一意に表します。
書店やネット書店、図書館では、このISBNをもとに本を管理・検索・流通させています。いわば「本の住民票」のような存在で、番号さえ分かれば、世界中のどこからでも同じ一冊を注文できるしくみになっています。
13桁の数字にはどんな意味がある?
ISBNの13桁は、ただの通し番号ではありません。大きく5つのまとまりに分かれていて、それぞれに役割があります。
- 接頭記号(978 または 979)——書籍を表す国際的な番号
- 国・言語圏(日本は「4」)——どの地域の本かを示す
- 出版者記号——どの出版者が発行したか
- 書名記号——その出版者の中でどの本か
- チェックdigit——入力ミスを検出するための1桁
細かく覚える必要はありませんが、「番号の並びそのものに、国や出版者の情報が含まれている」と知っておくと、ISBNが単なる管理番号以上の意味を持つことが見えてきます。
ISBNの4つの役割
ISBNは、本を「作る」段階よりも、そのあとの「届ける」段階で力を発揮します。主な役割は次のとおりです。
- 本を一意に識別する——同じタイトルでも、版が違えば別のISBNになります
- 流通・在庫管理に使われる——書店やネット書店で取り扱うために必要です
- 検索・注文の基準になる——書店での取り寄せ注文にも使われます
- 図書館やデータベースに登録される——本が公式な記録として残ります
とくに「注文の基準になる」という点は、著者にとって大きな意味があります。ISBNがあるからこそ、遠くの読者が最寄りの書店で「この番号の本を取り寄せてほしい」と頼めるのです。
ISBNとバーコード(JAN)は何が違う?
本の裏表紙には、たいてい2段のバーコードが並んでいます。これは「二段バーコード」と呼ばれ、上段がISBNを表すバーコード、下段が価格や分類を表す日本独自のコード(書籍JANコード)です。
つまりISBNは「番号」、バーコードはその番号を機械が読み取れる形にした「見た目」だと考えると分かりやすいと思います。書店のレジやネット書店での管理には、この二段バーコードが使われています。
ISBNがないと本はどうなる?
ISBNがない本は、Amazonや一般の書店で販売することが難しくなります。個人で印刷しただけの本は、ISBNがないために流通に乗せられず、結局は自分で手売りするしかない、というケースも少なくありません。
「せっかく本を作ったのに、身近な人にしか届けられなかった」という事態を避けるためにも、ISBNは大切な入り口になります。家族や知人に配るだけなら必須ではありませんが、広く販売したいなら用意しておきたいものです。
個人がISBNを取得する2つの方法
ISBNを取得するルートは、大きく分けて2つあります。それぞれ費用と手間がかなり違うので、目的に合わせて選ぶのがおすすめです。まずは両者の違いを、下の表でざっと見比べてみてください。
| 比較項目 | 自分で出版者登録して取得 | サービス経由で付与 |
|---|---|---|
| ISBNの費用 | 登録・取得に所定の費用がかかる | 無料で付くサービスもある |
| 手間 | 出版者登録・台帳管理を自分で行う | 手続き・管理はサービス側が代行 |
| 取得できる数 | 10冊単位などまとめて取得 | 出版する本に1冊ずつ付与 |
| 向いている人 | 屋号で継続的に何冊も出す人 | 1冊から手軽に出したい個人著者 |
本を出す方法そのものから迷っている場合は、個人が本を出す4つの方法と費用もあわせて見ておくと、ISBNの取り方まで含めて全体像がつかめます。
方法1|自分で出版者として登録して取得する
日本では、日本図書コード管理センターに出版者登録をすると、自分専用の出版者記号とISBNのまとまり(10冊単位など)を取得できます。屋号を持って継続的に何冊も出していきたい人には向いた方法です。
ただし、登録には所定の費用がかかり、取得したISBNは自分で台帳管理する必要があります。1冊だけ出したい個人にとっては、費用も手間もやや大きく感じられるかもしれません。なお、ISBN以外にも印刷や装丁でお金はかかります。出版全体でいくらかかるかの目安は自費出版の費用相場で確認しておくと、予算の見通しが立てやすくなります。最新の料金や手続きは公式窓口でご確認ください。
方法2|出版社の認可を持つサービスを利用する
もうひとつは、すでに出版者登録を済ませているサービスを通じて出版し、そのサービスからISBNを付与してもらう方法です。登録手続きや台帳管理をサービス側がまとめて引き受けてくれるため、著者は原稿づくりに集中できます。
1冊から手軽に出したい個人著者には、この方法が現実的です。サービスによってはISBNが無料で付くものもあり、費用を抑えて「正式な一冊」を世に出せます。
無料でISBNが付く出版サービスという選択肢
費用をかけずにISBN付きの紙の本を出したい場合、無料のオンデマンド出版(POD)サービスも選択肢のひとつになります。たとえば ムゲンブックス を運営するデザインエッグ株式会社は出版者としての認可を受けているため、出版された本にはISBNが無料で付与されます。
ムゲンブックスの場合、おおよそ次のような形で本を出せます。
- ISBNを無料で付与(初期費用・月額費用ゼロ)
- Amazon・楽天ブックス・全国の書店(取り寄せ)で販売
- オンデマンド印刷なので在庫リスクがなく、絶版になりにくい
- 本が売れれば10%の印税を受け取れる
無料でISBNを付ける方法は、PODサービスによって仕様や条件が少しずつ違います。どのサービスがどれくらいの費用で使えるかを見比べたいときは、格安・無料で紙の本を出す方法で全体像をつかんでおくと選びやすいです。ここでは「ISBNは無料でも付けられる」という点だけ押さえておけば十分です。
ISBNが付いた本は、一定数売れると国立国会図書館に納本され、公式な記録として未来に残ります。番号ひとつで、あなたの本が「世の中に確かに存在した証」を持てる、というわけです。もちろん、レイアウトの自由度など向き不向きはあるので、料金や仕様の最新条件は公式サイトをご確認ください。
よくある質問
ISBNの取得にお金はかかりますか?
自分で出版者登録をして取得する場合は費用がかかります。一方、無料でISBNを付与してくれる出版サービスを使えば、ISBN自体の費用をかけずに取得できます。1冊だけなら、後者のほうが手軽で費用も抑えられます。
ISBNがないとAmazonで売れませんか?
紙の本を書店流通に乗せて広く販売するにはISBNが必要になる場面が多いです。反対に、家族や知人へ配る程度なら必須ではありません。
同じ本でも別のISBNが必要になることはありますか?
あります。改訂して版が変わったときや、判型・装丁が大きく変わったときは、別のISBNをつけるのが原則です。
まとめ
ISBNは、世界共通で本を識別する13桁の番号で、流通・検索・記録の入り口になる大切なしくみです。要点を振り返っておきます。
- ISBNは世界共通で本を識別する13桁の番号で、二段バーコードとして本に印刷される
- ISBNがないとAmazonや書店での販売がむずかしくなる
- 個人取得は「自分で登録」か「サービス経由」の2ルート。1冊なら費用・手間の少ないサービス経由が現実的
- ムゲンブックスのような無料PODサービスなら、費用をかけずにISBN付きの紙の本を出せる
無料で出せるとはいえ、本が売れれば10%の印税を受け取れます。印税や販売価格の考え方は自費出版の印税率で詳しく整理しているので、収支のイメージを持ちたい方はあわせて読んでみてください。
本をつくることと、書店で売れ続けることは、いったん分けて考えてみましょう。まずは費用をかけずに、ISBN付きの一冊を世に出すという一歩から始めてみるのもひとつの方法です。