「本を出したら、印税っていくら入るんだろう?」——出版を考えはじめると、いちばん気になるのがこのお金の話かもしれません。私も著者の方から、もっとも多くいただく質問のひとつです。先に結論だけお伝えすると、印税は「価格 × 印税率 × 売れた部数」で決まり、そこから源泉徴収10.21%を引いた額が実際の手取りになります。たとえば額面3万円の印税なら、手元に残るのは約2.7万円です。この記事では、印税が決まる仕組みと出版形態別の相場、そして税引き後の手取りまでを、具体的な数字でやさしく整理していきます。
印税とは——本が売れたときに著者へ入るお金
印税とは、本が売れたときに著者が受け取る報酬のことです。本の売上の一部が、書いた人の取り分として支払われます。原稿を書く対価というより、「あなたの本が一冊売れるたびに、その何割かが還ってくる」とイメージするとわかりやすいかもしれません。
同じ一冊でも、どの出版方法を選ぶかで、この取り分は大きく変わります。まずは計算の基本から見ていきましょう。
印税の計算方法
印税は、基本的に次の式で決まります。むずかしい計算は要りません。
印税 = 本の価格 × 印税率 × 売れた部数
たとえば、定価1,500円の本が印税率10%で200部売れた場合は、こうなります。
1,500円 × 10% × 200部 = 30,000円
「価格」「印税率」「売れた部数」、この3つが印税の正体です。どれを動かしても金額は変わりますが、なかでも著者が出版前にコントロールしやすいのが「印税率」と「価格」です。
刷り部数印税と実売印税の違い
印税の数え方には、大きく2つの考え方があります。ひとつは「刷った部数」に対して支払われる刷り部数印税、もうひとつは「実際に売れた部数」に対して支払われる実売印税です。前者は刷った時点で印税が確定するぶん著者にとって安心感がありますが、近年は在庫リスクを避けるため、実売印税やオンデマンド型の仕組みが増えています。自分の契約がどちらなのかは、出版前に必ず確認しておきたいポイントです。
出版形態別の印税率の相場
印税率は、出版の形態によってかなり差があります。「サービスによって様々」とよく言われますが、もう少し踏み込んで目安を整理すると、選ぶときの判断がしやすくなります。
| 出版形態 | 印税率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 商業出版 | 数%〜10%程度 | 出版社が費用とリスクを負担。部数が出ないと収入は小さい |
| 自費出版・個人出版(POD) | サービスにより様々(10%前後の例も) | 費用負担はあるが印税率は高めに設定されることが多い |
| 電子書籍(Kindleなど) | 条件により35%または70% | 価格帯や配信条件でロイヤリティ率が変わる |
商業出版の印税率はそれほど高くなく、ベストセラーでもない限り大きな収入にはなりにくいのが実情です。一方、自費出版・個人出版では印税率が高めに設定されることもありますが、そのぶん初期費用がかかるケースが多く、トータルで見て手元にいくら残るかが大切になります。自費出版の印税率がどのくらいで、部数ごとにどれだけ収支が変わるのかを具体的に確かめたい方は、自費出版の印税率は10%が目安(相場と収支シミュレーション)で数字を追って確認できます。なお料金や条件は変わりやすいので、最新の内容は各サービスの公式サイトでご確認ください。
税引き後の「手取り」を計算してみる
ここが、意外と見落とされがちなところです。印税は受け取って終わりではなく、個人の場合は支払いのときに源泉徴収(所得税の前払い)が差し引かれます。つまり、計算式で出た金額がそのまま手取りになるわけではありません。
個人の著者に支払われる印税には、原則として10.21%の源泉徴収がかかります。先ほどの例(印税30,000円)で計算してみましょう。
源泉徴収額:30,000円 × 10.21% = 3,063円
手取り:30,000円 − 3,063円 = 26,937円
つまり、額面30,000円の印税でも、実際に振り込まれるのは約26,900円ということになります。なお源泉徴収はあくまで税金の前払いなので、確定申告をすれば、年間の所得状況によっては一部が戻ってくることもあります。会社員の方で副業として印税を受け取る場合は、確定申告が必要になるケースもあるので、金額が大きくなりそうなら早めに確認しておくと安心です。
印税が支払われるタイミング
印税がいつ振り込まれるかも、サービスや契約によってまちまちです。半年や1年ごとにまとめて精算される場合もあれば、毎月の売上に応じて支払われる場合もあります。「思ったより入金が遅い」と戸惑わないためにも、支払いサイクルは契約前にチェックしておきましょう。
印税を増やすための3つのポイント
印税は「価格 × 印税率 × 部数」で決まるので、手元に残るお金を増やすには、次の3つが効いてきます。
- 印税率の高いサービスを選ぶ——同じ部数でも、率が違えば手取りは大きく変わります。
- 売れる工夫をする——検索されやすいタイトル、目を引く表紙、SNSでの発信などが部数につながります。
- 初期費用をかけずに出版する——出版にかけた費用は、印税で回収して初めて利益になります。
とくに見落とされがちなのが3つ目です。高額な出版費用を払うと、その回収のためにまとまった部数を売る必要が出てきます。初期費用が0円なら、最初の一冊が売れた時点から純粋な利益になります。印税率の数字だけでなく、「出版に何円かけたか」をセットで考えることが、手取りを残すいちばんの近道です。実際に出版方法ごとの費用がどのくらいかは、自費出版の費用はいくらか(相場と無料で出す方法)で相場を確認しておくと、回収の見通しが立てやすくなります。
費用0円・印税10%で出版する方法
本をつくることと、書店で売れ続けることは、いったん分けて考えてみましょう。まず大切なのは、費用をかけずに出版の一歩を踏み出せるかどうかです。
たとえば ムゲンブックス のような無料のオンデマンド出版(POD)サービスは、初期費用0円で紙の本を出版でき、本が売れれば販売額の10%を印税として受け取れる選択肢のひとつです。受注生産なので在庫を抱えるリスクがなく、ISBNを付けてAmazonや楽天ブックス、全国の書店(取り寄せ)で販売できます。文字を打つだけで原稿が形になるため、Wordの操作が苦手な方でも始めやすいのが特徴です。費用がかからないぶん、一冊売れた時点から印税がそのまま利益になります。料金や配信の条件は変わることがあるので、最新の内容は公式サイトでご確認ください。
まとめ
印税は「価格 × 印税率 × 売れた部数」で決まり、そこから源泉徴収10.21%が引かれた額が実際の手取りになります。額面30,000円なら手取りは約26,900円、という具合です。商業出版・自費出版(POD)・電子書籍で印税率の相場は異なり、どれを選ぶかで取り分は変わります。
大切なのは、印税率の高さだけでなく「出版にいくらかけたか」までを合わせて考えること。初期費用をかけずに出版すれば、最初の一冊から手取りが残ります。まずは費用をかけずに、出版という一歩を踏み出してみるのもひとつの方法です。