これまでの人生を、一冊の本にまとめてみたい。そう思ったとき、多くの方が最初に戸惑うのが「何から書けばいいのか」という一点です。この記事では、自分史・自伝の作り方を、年表づくりから本として出版するまでの5ステップでやさしく整理します。文章を書き慣れていなくても、順を追えば大丈夫。書くことが思いつかないときのヒントや、本にするときの費用の目安まで、はじめての方に向けてお話しします。
自分史と自伝の違い
まず、言葉の整理から始めましょう。どちらも「自分の人生を書いた本」ですが、重心が少しだけ違います。
自分史は、生まれてから現在までの出来事を、時代に沿って記録していくものです。年表のように事実を並べ、そこに当時の気持ちを添えていくイメージに近いと思います。一方の自伝は、その人の考え方や生き方そのものを語りに寄せて描くもので、読み物としての色合いが濃くなります。
とはいえ、この違いに神経質になる必要はありません。「記録として残したいのか」「読み物として伝えたいのか」——どちらの気持ちが強いかで、書き方の力点を決めればいい、という程度で十分です。
自分史を作る意味
自分史づくりに取り組む方が、近年少しずつ増えています。退職や還暦、あるいは終活といった人生の節目に、これまでの歩みを形にしておきたい——そんな思いがきっかけになることが多いようです。
自分史には、大きく三つの意味があります。家族や子孫に人生の記録を残せること。自分の歩みを振り返り、頭のなかを整理できること。そして、これまでの経験や教訓を、言葉にして次の世代へ手渡せること。どれも、お金では買えない「人生そのもの」を一冊に写し取る作業です。
完璧な文章である必要はありません。あなたが確かに生きてきた時間が、そのまま価値になります。
自分史の作り方5ステップ
ここからは、実際の作り方を5つのステップで見ていきます。最初から順番どおりに進めなくてもかまいません。書けるところから手をつけて、あとで並べ替えていくくらいの気持ちが、かえって長続きします。
1. 年表を作る
まずは、生まれてから現在までの出来事を年表として書き出します。「いつ・どこで・何があったか」を並べるだけで、書くべき内容の全体像が見えてきます。入学や卒業、就職、結婚、引っ越しといった節目を先に置き、その間を思い出で埋めていくと進めやすいです。
2. テーマや時代で章を分ける
年表ができたら、幼少期・学生時代・仕事・家庭…のように、時代やテーマで章を分けます。すべてを均等に書こうとせず、特に伝えたいエピソードのある時期に厚みを持たせると、読みやすい自分史になります。章の数は、はじめは5〜7つを目安にすると全体が締まります。
3. エピソードを文章にする
各章に、当時の気持ちや具体的な出来事を肉付けしていきます。ここでのコツは、「うまく書こう」としないこと。目の前の誰かに語りかけるように書くと、あなたらしい温かみのある文章になります。日付や固有名詞があいまいでも、まずは書き切ることを優先しましょう。
4. 写真を入れる
当時の写真を添えると、自分史は一気に味わい深くなります。文章だけでは伝わりにくい情景も、一枚の写真が補ってくれます。家族にとっても、言葉と写真がそろった一冊は、かけがえのない記録になります。
5. 本の形にして出版する
原稿と写真が整ったら、いよいよ本の形にまとめます。表紙を付け、目次やページ番号を整えて、製本する工程です。原稿づくりから出版・販売までの一般的な流れは本の作り方|原稿から出版までの5ステップでまとめているので、全体像をつかみたい方はあわせて読んでみてください。ISBNを付けてAmazonや書店で販売することもできますし、家族や知人に配るだけの少部数でも作れます。
書くことが思いつかないときのヒント
「いざ書こうとすると、手が止まってしまう」。これは、自分史づくりでいちばん多いつまずきです。そんなときは、自分に質問を投げかけてみると、記憶の引き出しが開きやすくなります。
- 子どものころ、いちばん夢中になっていたことは何ですか
- 人生の分かれ道になった選択は、いつのことでしたか
- いま感謝を伝えたい人は、どんな人でしたか
- 思い出すと今でも笑ってしまう失敗はありますか
答えを一つずつ書き留めていくと、それぞれがそのままエピソードの種になります。順番や文章の巧さは、あとからいくらでも整えられます。まずは、思い出したことを短くメモするところから始めてみてください。
自分史を本にする費用の目安
気になるのは、やはり費用でしょう。自分史を本にする費用は、選ぶ方法によって大きく変わります。印刷会社に製本だけ頼む方法、自費出版サービスを使う方法、そして無料のオンデマンド出版(POD)を使う方法があり、数千円で収まるものから数十万円かかるものまで幅があります。
どの方法がいくらくらいかは、自費出版の費用相場で詳しく整理しています。ここでは「作り方によって費用はゼロにもできる」という点だけ押さえておけば十分です。まずは費用をかけずに一冊作ってみて、必要に応じて部数を増やす、という進め方もできます。
パソコンが苦手でも自分史は作れる
「自分史を作りたいけれど、パソコンが苦手で…」という声も、よくうかがいます。難しいソフトを使いこなせなくても、本づくりはできますのでご安心ください。
たとえば ムゲンブックス は、ブログを書くように文字を入力していくだけで紙の本が作れるPODサービスです。目次やページ番号は自動で作られ、写真(挿絵)を入れることもできます。初期費用も月額費用もかからず、ISBNを無料で付けてAmazon・楽天ブックス・全国の書店(取り寄せ)で販売できます。受注生産なので在庫を抱える心配もありません。最新の仕様や条件は公式サイトでご確認ください。
もちろん、レイアウトの自由度など向き不向きはあります。凝った装丁にこだわりたい場合は別の方法が合うこともあるので、目的に合わせて選んでみてください。周年や退職の記録を残したい方は、近いテーマの記念誌・回顧録の作り方も参考になります。
よくある質問
文章を書いた経験がなくても自分史は作れますか?
作れます。上手な文章より、あなた自身の言葉で書かれた記録のほうが、読む家族の心に残ります。語りかけるように書けば十分です。
どれくらいの期間で完成しますか?
人によりますが、年表づくりに数日、原稿の執筆に数週間から数か月が目安です。少しずつ書き進めて、半年ほどで一冊にまとめる方が多い印象です。
家族に配るだけでも本にできますか?
できます。オンデマンド出版なら、必要な部数だけ印刷できるので、家族の人数分だけ作るといった使い方も可能です。
まとめ
自分史づくりは、特別な才能がなくても始められます。最後に、要点を振り返っておきましょう。
- 自分史は人生の記録、自伝は生き方の語り。力点の違いで書き方を決める
- 年表づくりから始め、テーマで章を分けると書きやすい
- 書けないときは自分への質問でエピソードの種を掘り起こす
- 写真を添えると味わいが増し、家族の記録としても価値が高まる
- 費用は方法しだいでゼロにもでき、パソコンが苦手でも本にできる
本をつくることと、たくさんの人に読まれることは、いったん分けて考えてみましょう。まずは費用をかけずに、あなたの人生を世界に一冊の本として残すという一歩から始めてみるのもひとつの方法です。